• 県有林「小金沢シオジの森」及び周辺の森林をフィールドに、様々な森林体験プログラムを用意しています。

小金沢シオジの森には、様々な生き物が棲んでいる。

近頃は、春先の林道付近に限るが、カモシカと出会うこともある。カモシカは、いつも悠々としていて、ちっとも我々人間を怖がらない。捕獲され食われる心配などしていないようで、シオジ森の学校のスタッフ仲間は、次々と写真に収めてきた。

カモシカのほかにも、二ホンシカやニホンザルは、頻繁に見かける。こちらは、跋扈する季節を問わない。それぞれに、シオジの森ばかりではなく、多くの森では厄介者である。

一方、何かしら痕跡を残すだけで、まだ一度も姿を見せたことのない動物がある。それは、クマだ。糞や、悪戯した爪痕や熊だななどは、小金沢シオジの森のいたるところで見つかる。昨年などとうとう、長沢にあるシオジのキングツリーに爪を掻ける狼藉に及んでしまった。

このほかにも、ほ乳類だけでも、テン、タヌキ、キツネ、ヒメネズミなどは、赤外線カメラの撮影で、かなりの数の存在が確かめられている。

さて、小金沢シオジの森のほ乳類の主役はと聞かれれば、私はオコジョをあげたい。

オコジョ

なにせ人懐っこい。というか、ひょうきんものである。沢の岩場や、岩場にある草本類のしげみの間を、絶えず動き回っている。ちょっと目を離すと、すぐに視界から外れ見失うことも度々だ。昨年は一度も見る機会がなかった。、一昨年は一度だけと、なかなかご対面できないありさまだ。

しかし、数年前までは、かなりの頻度でオコジョの姿を見かけていた。

因みに、小金沢シオジの森で、オコジョの存在が初めて確かめられたのは、記憶に間違いがなければ、2011年のことであった。

この季節の草本の調査に出かけた折、お弁当広場から長沢出合に向かった一行が、そろそろ出合に到着しかけたところで、沢の岩場を下流に向かう小動物を、はじめてシオジの森を訪れた20歳代の女性が発見。第一発見者はそれが何かを知らなかったが、居合わせた森の学校スタッフの一人が「オコジョ」と確認した。私も、オコジョを初めて見た日となった。

オコジョの写真撮影に成功したのは、それから約半年後の冬毛の姿であった。幸運にもこの日も、私は現場に居合わせた。この日は、動物の研究者と植物の研究者、それに『シオジの森 フィールド・マップ』制作の推進役だった酒井將年さんと私の4人で調査に向かっていた。オコジョがあらわれたのは、観察路を入ってすぐの尾根道と長沢添いの道の分岐点。なんと、冬毛のオコジョは、植物の研究者の3メートルまえに、ポーズをとるかのようにとどまり、撮影者の期待に応えたのだった。この時の写真は、マップにも一葉収め、森の学校のポストカードとして皆さんの手に渡った。撮影者は都留文科大学教授の別宮由紀子さん。

もっとも、小金沢訪問者でオコジョにもっとも愛されているのは、この時も同行していた動物研究者で写真家でもある石原誠さんだ。石原さんは、ご自身では名乗ったことがないが、現在は閉館してしまった山梨県立森林科学館長をなさっていた。石原さんは、この森の有り様を気に入ってくださり、足しげく通ってくださっている。石原さんが観察路を歩くと、ほとんど毎回のようにどこかでオコジョが現れるという年が、何年か続いた。

別宮先生も、石原元館長も、マップ製作にも、完成後のシンポジウムにも参加くださり、私たちシオジ森の学校の仲間に、たくさんの知見をお分かちくださっている。とりわけ別宮先生は、シオジの毎木調査において、石原元館長はネズミなどの調査で。詳しくは、またのちの機会に紹介したい。

(下澤直幸)

  • 【小金沢シオジ四方山話】 次回は、2月中旬.に掲載予定

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